三島郡島本町、水無瀬より投稿しています

東洋医学の五臓について

 

東洋医学の五行説
 

今回もご訪問頂きありがとうございます。

今回で第8回目となる東洋医学は古典的なお話ですが、基本的な部分からもう一度分かり易く説明してみようと思います。

※プチ東洋医学では直ぐに生活に役立つツボのお話などを中心にお伝えしています。

プチ東洋医学9

東洋医学シリーズ

◆肝◆

肝は思惟の中枢(肝は「将軍の官」と呼ばれています)

思惟:考えや思いを巡らせる行動。結論を導き出すなど何かしら一定の状態に達しようとする過程において、筋道や方法など模索する精神の活動である。

外邪(病邪)から身を守るすべてを担っている。思考思案を巡らせることが出来るのは肝のおかげだと言われています。

※一切の思慮、計諜(はかりごと)など外的ストレスから身を守れるのは肝がしっかりしているからだと言うことです。

「肝っ玉」の「肝」をさしています。だから、肝気が衰弱すると、思考活動が低下してぼんやり無気力になってしまう。

肝は血を蔵す

肝は血を貯蔵し、身体の血量を調整する働きを担っています。

精神的な外的ストレスで正常に働けなくなる→過度なストレスが原因で吐血してしまう。

肝気が高ぶるとイライラして怒りやすくなる。

※これらは東洋医学の古典である「霊枢:本神」に記述されています。

肝と筋、爪の関係は以前説明した「陰陽応象大論」が参考になると思います。

肝の低下が筋骨の痛み、筋のひきつれ、巻き舌など、筋のすべての症状に現れます。

分かり易く言えば、血液の供給が上手く出来なくなって筋や骨への栄養や循環が上手く行えない状態です。

末梢への血液循環も悪くなるので、爪にもその症状が現れることが有ります。

肝血の不足では爪は柔らかく薄くなり、色が淡白となって艶がなくなる。

爪の状態を確認すれば肝の健康状態は知ることが出来ます。

爪の状態を示す絵

肝と目の関係は良く知られていますが、慢性の目のカスミ、めまい、などは肝血の不足で起こります。

また、両目の乾燥、とり目なども肝と関係が深い症状です。

以前記載した「金匱真言論」が参考になると思います。

「肝は目に開孔す」「肝は血を受けてよく視る」などが書かれています。

金匱真言論

 

◆心◆

心は神に通ず(心は「君主の官」と呼ばれています)

心は精神の中枢であり、すべての生命活動は心によって統率されている。

素問・霊枢(東洋医学の古典的な書物)では「心は神を蔵す」「心は生の本、神の変ずる所」「五臓六腑の主大にして、精神の在する所」と述べられています。

もし、心に異変が生じた場合「動悸・恐怖・不安・物忘れ・胸苦しさ・譫言(うわごと)・意識の昏迷」などが見られる。

また、感情が上手くコントロールできない「笑いが止まらない・悲しみが湧き出してしまう」などの精神的な乱れ(感情失禁)が現れることがあります。

心の異常が顔色に表れる図

血液は脈中をながれ全身へいきわたる。

脈の働きを司るのが「心」の役割で、血脈に関与する多くは心と密接な関係にあります。

そして、その血脈との関係が顔色になって体外に表れるのです。

血液の流れが悪くなると、顔本来の色調は無くなって蒼白になる。

また、色調だけでなく光沢も奪われる。

心気が不足すると薄黒い、あるいは青紫色(チアノーゼの状態)となって顔に現れます。

心は舌とのつながりも深く、「心は舌に開孔す」と述べられています。

舌の図

心に異変が生ずると、舌は赤く(淡赤色 または 淡白舌)となりもつれて言語不明瞭となる。

そして、心気が不足すると味覚の異常となって現れてきます。

心は消化器官(脾)とのつながりも強く様々な異変が生じます。

詳しくは以前の記事が参考になると思います。

陰陽応象大論

◆脾◆

脾は運化の中枢(脾は「倉廩(そうりん)の官」と呼ばれています)

※脾=胃・大腸・小腸の事を指しています。

精微なものを抽出して全身に運搬する。(食べたものの精気が全身にゆきわたるって事です)

同時に脾は体内の津液(体液:唾液やリンパ)を一緒に運んでいます。

したがって脾が衰えると、下痢、食欲不振、腹部膨満、消化不良などが起こる。

このために身体はやせて、血色が悪くなり、津液の停滞によってむくみ(浮腫)が生じる。

脾は血を調整する

脾は運化と共に、血の統括も行っています。したがって、脾の機能が低下すると出血傾向が現れます。

慢性の血便、女性では慢性的な月経過多子宮出血などが起こる。

口唇の図

脾と肌肉、口唇の関係

脾は飲食の精気(栄養)を全身に運搬する。肌肉(きにく)はこの精気により生成されています。

したがって、もし脾の機能の異常が生じたら栄養が全身に巡らなくなって全身が痩せて四肢に力が入らなくなる。

「脾は口に開孔す」とされ、脾の健康状態は口唇に現れやすいです。

健康な口唇はイキイキして美しく、光沢に富んでいます。

脾が異常になると口唇は青白くなり艶を失います。

 

◆肺◆

肺は気血を調整する(肺は「相傅(そうふ)の官」と呼ばれています)

平たく言えば、心を補佐する一番重要な器官と言えると思います。

心肺機能と言われるように、心と肺は深いつながりを持っています。

血液が汚れたら肺の治療も必ず必要になってきます。

肺の役割の図

肺は気を統括する。東洋医学では鼻から吸い込む場合、空気とは言わず「天空の気」を吸入すると言います。

「天空の気」が「天の気」を生成して、全身へ巡り、その天の気の一部が飲食物と合体して元気(真気)となると考えられています。

肺の異常は咳嗽(せき)、呼吸困難などのほか、体力が無くなって疲れやすくなるなどの症状が出ます。

肺の異常を示す鼻の絵

「肺は鼻に開孔す」と言われるように、肺に異常があれば鼻づまりや嗅覚の異常をきたします。

小鼻(鼻翼)がぴくぴくするのは肺の異常の特徴の一つと言われています。

肺と皮毛の関係

肺から吸い込まれた「天空の気」は陽気とされています。

タバコなどを吸って「陽気」を上手く吸い込めなくなると、皮膚(肌)の調節作用が低下して肌の艶や色が悪くなります。

「天の気」は全身に巡って、身体全体を包み込むように分布し保護しています。なるべく鼻から良いものを吸引した方が体を守れるってことです。

この陽気はとても大切で、体温調節やウイルスなどの外敵から身を守る働きをしています。

皮膚を調節する作用として、寒い時は肌を縮め、暑い時は肌を弛緩させて発汗を促します。このバランスが崩れると外邪に対して抵抗できなくなり、風邪を引きやすくなったりします。

肺機能を整えることで、外邪から体を守ることができる=「引導の述」は現代でも「乾布摩擦」などで利用されています。

◆腎◆

腎は精を貯蔵する(腎は「作強の官」と言われています)

人間の生命活動を維持する基本的な栄養物質である精を貯蔵し、五臓六腑の要求に応じて随時供給します。

そして全身に精力(運動する力)を分け与え、粘り強さや根気を生み出すのが腎の主な役割です。

腎は生殖器の精も貯蔵しています。先天的な腎気が後天的な五臓の精気と結合して生成されたものが生殖用の精と言われています。

腎に病変が及ぶと、精液不足、性欲減退、早漏などの症状となって現れるでしょう。

腎気と成長発育の関係

子供の腎気は両親から受け継いだもので、妊娠後は子供を成長させる基盤となります。

もともと親から受け継いだ腎気が不足してる場合も有りますが、生きていく過程で充実してくることが多いです。

これらの腎気の詳しい過程は以前の記事が参考になると思います。

上古天真論

腎は「命門の管理者」

腎は左右に2つあります。右腎を命門という(他に種々の解釈が有ります)命門は元気の源であり両親から与えられた「先天の気(腎気)」を貯蔵する。

「命門の火」と言いますが、五臓六腑の機能活動と成長育成、および生殖の為のエネルギーとなります。

腎水と命門の火をまとめて管理するのが「腎」の主な役割ともいえるでしょう。

腎水と言われるのは、腎と二陰(外生殖器と肛門)と水分代謝の関係に起因しています。

腎は水を貯蔵して全身の水液代謝を管理し、命門の火がこの働きを助けています。

腎に異常をきたすと、腎水と命門の火が不足して便秘や尿量の減少(むくみ)につながります。

反対に水様性の下痢や尿失禁、生殖器の病変が起こり得ることもあります。

腎の開孔する図

※腎気が足りなくなると耳鳴りやひどい時は聞こえなくなったりもします。これは腎と耳の関係によるものです。

腎で大切なことは、脊髄と脳との関係です。

腎は骨と髄の成長育成と密接に関わっています。

「腎は骨髄を生ず」と古典では説明していますが、腎は精を貯蔵して、精は髄を生み出す(髄が骨を養っている)

もちろん骨の一種である歯(歯髄や歯肉)そのものを養ってるのも腎です。

五臓六腑の活力の源であるだけでなく、骨・髄。脳の働きをつかさどるのが腎と言う訳です。

したがって、腎気が不足すると骨と髄に関連して腰がだるくなったり骨に痛みを生じたりします。脳に関連して物忘れ、思考力低下、眩暈(めまい)から視力低下や耳鳴りが現れることもあります。

腎が担ってる場所の図

●五臓

 

陰陽五行の図

五臓とは「肝・心・脾・肺・腎」の五つのことで、腑に対して臓は陰とされています。

※これらの五臓に心包経を加えて六臓と呼ぶことも有りますが、心包経は心の外衛となることから普通は一臓と数えないことが多いです。

五行配当表

◆最後に◆

今回は五臓のお話でした。東洋医学的な五臓の役割について今回は書いてみました。

また、機会が有れば五臓に対応する六腑についての記載をしたいと思います。

東洋医学が正しく理解されて、生活の中で東洋医学がより良きものであることを一治療者として願っています。

今回も最後までお読みくださってありがとうございました。
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