ストレッチはなぜ体に良いの?

三島郡島本町、水無瀬より投稿しています

今回もご訪問頂きありがとうございます。

「筋肉を伸ばす」というイメージを持つ方が多いと思いますが、トレッチにより体にどのような反応が起こるかを知る方は少ないと思います。

理学療法士としてストレッチがなぜ体に良いのかを説明してみようと思います。

正しいストレッチ方法を分かって、自分でもなぜストレッチが体に良いのかを知ったうえで行うと身体のメンテナンスも上手く行えます。

元の長さに戻す

例えば、骨折するとします。骨折の程度にもよりますが、約2週間ギプス固定するとどうなるでしょう?

長期間関節を固定していたりすると、筋肉や腱などの組織が短くなってしまい、動きに制限を引き起こしてしまいます。

これを専門的には「拘縮(こうしゅく)」と言っています。

ストレッチにより組織を伸ばすことで、短くなった組織を元の長さに戻します。

筋肉が短くなることを「短縮(シュートニング)」と言いますが、筋肉が短くなると関節の動く範囲も狭くなります。

転倒したときの骨折については以前の記事が参考になると思います。

転倒による骨折

筋肉と神経

 

アッシリアのレリーフ偉大なライオンの絵を紹介します。

死にかけているライオンの絵

 

これは大英博物館所蔵の彫刻ですが、背中を槍で刺されている瀕死のライオンです。

後ろ足を引きずっていますが、矢が突き刺さってるのは背中付近です。

いくら筋肉がしっかりしていても、筋肉を動かす神経が破壊されたら後ろ足はマヒして動きません。

筋肉と神経は密接な関係にあることがこの一枚の構図から分かってもらえると思います。

脊髄への損傷が,槍を受けていない後肢を麻痺させている状態です。

筋肉や腱が伸ばされると、その器官が刺激を感知して神経に伝えます。

神経を伝わった刺激は背骨を通る神経である脊髄(せきずい)を介して筋肉が緩むような刺激として戻ってきます。

その刺激が筋肉を緩ませ柔軟性を高めます。

一連の神経の働きによって筋肉が動くのですが、いくつかのパターンが有ります。

1b抑制

1b抑制(ワンビーよくせい)

これは自動抑制とも呼ばれています。

筋肉と腱の移行する部分に「ゴルジ腱器官」と呼ばれる器官があります。

ストレッチによりこの器官に刺激が加わることで伸ばされた筋肉が緩みます。

このような反応をワンビー抑制または自原抑制と呼びます。

一般的にストレッチで筋肉が緩むのはこの反応が想像しやすいと思います。

筋が緩む仕組み

 

ワンビー抑制の図

※ゴルジ腱器官は腱が伸びることにより反応し筋腹を緩めるように信号を送ります。

運動後にストレッチする時はゆっくりジワァ~っと伸ばしてあげると筋肉がリラックスするって事です。

 

反回抑制

筋肉が最大限収縮することで、収縮後に筋肉が緩むという現象が起こります。

「最大収縮後の最大弛緩」と言われるものです。

以前紹介したPNFなどの技術を習得した理学療法士が主にストレッチのテクニックとして活用します。

脊髄にあるレンショウ細胞と呼ばれる細胞の働きによるとされており、反回抑制と呼ばれています。

ワンエー抑制の図

※理学療法士が「力をいれてぇ~!!」って大きな声で言うのでビックリするかもです。

でも、力を入れてもらうときはしっかり頭を目覚めさせる必要が有ります。頭が起きていないとどれだけ筋肉が発達していても力が入りません。

例えば、プロレスラーが大きな声で試合中に「うおぉ~おぉ~」って叫んでたりますよね。

あれは、頭をクリアにしてしっかり最大限の筋肉パワーを使おうとしてるのです。

最大収縮をさせるためには理学療法士などの専門家の指導のもとで行った方が望ましいと思います。

PNFを用いた筋トレ

1a抑制

 

相反神経の図

これは一方の筋肉に力を入れることで、反対側の筋肉が緩むという反応です。

1a抑制(ワンエー抑制)は相反神経抑制とも呼ばれています。

簡単に説明すると、太ももの裏の筋肉をストレッチする前に、膝を伸ばすように太ももの前の筋肉に力を入れることで、太ももの裏の筋肉が緩みストレッチがしやすくなります。

前の筋肉が硬い状態で、後ろ側の筋肉を伸ばすのは効率が悪いって事になりますよね。

膝蓋骨(しつがいこつ)の下の腱を叩くと膝が勝手に伸びる反射(膝蓋腱反射「PTR」:しつがいけんはんしゃ)は誰もが経験したことがあると思いますが、これもワンエー抑制が作用しています。

※膝蓋骨は皆さんが「お皿の骨」と言っている丸い骨です。

膝蓋骨の下の腱(膝蓋靭帯)は太ももの表の筋肉である大腿四頭筋からつながる腱なので、ここを叩くと反射的に筋肉が縮みます。

それと同時に太ももの裏の筋肉がワンエー抑制により緩むため、膝が勢いよく伸びるという現象が生じるのです。

簡単に言えば、一方が縮むと、もう一方が緩む仕組みになっているって事です。

ストレッチでは以上のような反応を利用して筋肉を緩ませることが出来ます。

●ストレッチには色々な種類が有ります。

静的ストレッチ

●スタティックストレッチ (STATIC:静的)

動的ストレッチ

●バリスティックストレッチ(Ballistic:動きに合わせると言う意味で使われています)

※弾道ミサイルの事をバリスティックミサイルと言うのでなんとなく意味をつかめると思います。

●ダイナミックストレッチ(Dynamic:動的 or 力学的)

実際のストレッチについては長くなるので、次回に一つ一つ説明しようと思います。

◆最後に◆

色々なストレッチ方法がTVや雑誌などで紹介されています。

日常生活や運動前後にストレッチを取り入れている方も多いと思います。

しかし、ホントにそのやり方でいいのか?

実際にストレッチはデメリットが生じる場合だって有ります。

先ずは今回ご紹介してるストレッチがなぜ体にいいのか、どのように作用するのかを理解することが大切だと思います。

しっかりとストレッチのい仕組みが理解できていれば、自分の体や状況に合った方法を選択することができます。

当院では、ストレッチの効果を上げるために、適切なストレッチの方法を実践出来る様にお手伝いしたいと考えています。

実際のストレッチの説明は次回になりますが、また次回来て下さることを楽しみにしています。

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